さりげない日々

Nami1

 わたしはねじまき。住まいはカフェテリア。きれいな中庭のあるカフェテリアに好んで生息する。噴水があれば尚よし。あなたがどこかのカフェに入れば必ず私がねじを巻いているところに出くわすことができる。ここアンティグアには、ねじまき好みのカフェテリアが数え切れないほどたくさんある。今日はそんなアンティグアより、ねじまきがアンティグアでの日々を紹介しようと思う。

Comedor  朝の始まりは、7時。ねじまきは起きるのが遅い。日本では聞かれないトロピカルな鳥の声とホームステイ先の子供の声(今日も学校行きたくないよーっと、叫んでいる)で目覚める。朝食をとりに自分の部屋から家族の集うダイニングルームへ行くために(わずか5歩の距離だが)外へ出ると、太陽の存在を拒否するかのような冷たい風が肌をさす。朝食は、パンケーキやフレンチトースト、フルーツサラダ。ホームステイ先で出される食事は、どれもみな日本で予想していたよりもずっとおいしい。1日3食きっちりとこんなに美味しい物ばかり食べている私は、日本にいた頃と比べて着実に太りつつある事うけあいである。

Clase  さて、朝食の後は、8時から始まる授業に向けてテクテクと10分の道程を歩き出す。授業は、文法、会話、リーディングと盛りだくさん。スペイン語を全く知らなかった私が(1から10までもすら言えなかった)4時間ずーっとスペイン語のみの授業についていけるかどうか不安でしょうがなかったけど、マンツーマン形式の授業のおかげで挨拶や簡単な日常会話ができるようになるまでにはそう時間はかからなかった。先生との相性はとても大事。仲良くなると一緒にお茶をしたり、グアテマラ料理を作ったり、お祭りを見に行ったり、時には一緒に旅行に行ったりすることもある。授業は基本的にノルマとか規則はなく、リベラルな雰囲気が漂っている。

 授業は8時から12時までの間に30分の休憩をはさむ。8時から10時はあっという間だが、10時半から12時までは、そろそろお腹が気になり始め、そして時計の針も気になりだす。12時のチャイムと同時に学校を去り家に帰る。今日のメニュはなんだろう。ここでは、昼食がメインの食事なので再び家族が集まり、昼食をあれやこれやと話しながら食べる。

 午後からは自由時間。朝はあんなに寒かったのに昼には半袖やキャミソールで歩けるほどに暑い。そんな中を私は再び街中に出る。たいていは、インターネットカフェに行ったり、映画を観に行ったり、カフェでお茶をしながら勉強したり、友達としゃべったりする。アンティグアを語る時に絶対欠かせないものが、カフェだ。最初にも書いたとうり、この町にはたくさんのカフェがある。そんなカフェで午後のひとときを過ごす。そこで長時間勉強しようと、友達とおしゃべりしようと店員に迷惑そうな顔をされる事も追い立てられる事もない。したがって午後は、必然的にカフェに足が向いてしまう。そしてたいていは友達に出会い、たとえ勉強するつもりで行っていても、なぜか気がつくとお喋りに花が咲きかばんの中の辞書は。開かれないままになるのだ。さてここで私の身の回りのここに滞在する日本人たちを紹介しよう。本当は自分ねじまきのことを紹介したいのはやまやまなんだけど自分で自分の事を書くのは誰でも書きにくいもの。だから私の周りで私と同じようにスペイン語の勉強している人の生態をほんの少し明らかにしようと思う。

Satomi  まず、さとみ.K。年齢不詳。早寝遅起きをモットーとしている。彼女と私はいつも一緒にカフェにいる。どちらが誘うということなく2人が集まれば自然と私達の足はカフェに向いてしまうのである。彼女は一度短期2ヶ月ほどでアンティグアに来たが、気に入り、一度日本に帰りありったけの仕事でありったけの金を貯めて、今度は1年ぐらい日本を離れる予定で日本を出てきたのである。そんな彼女はグアテマラの子供たちの人気者で、いつも彼らと一緒に野山を駆け回って遊んでいる。だから夕食の後は彼女のモットー通り早寝を実行するのである。
Toshio
 次に、大阪出身の24歳としお.Nだ。彼はここアンティグア滞在歴2年である。そのうち半年はメキシコに住んだり、中米をぶらぶらしてる人である。決して南米に下ろうとしない人でもある。彼は特に勉強してるわけでもなく、何もしていない人だ。彼に言わせると「何もしていないことを自覚してそれを実行してるまで」だそうだ。もちろん彼もカフェ仲間である。中米、特にグアテマラの魅力を彼の言葉を借りて形容すると「べつにー」ということである。

 こう書くとここにいる日本人は何もしていない人たちばかりだと思われるかもしれないが、決してそんな人たちばかりではない。1日6時間授業をとって、スペイン語をマスターするために必死で勉強している人、夢中でダンスに打ちこんでいる人、織物を習っている人、等など。多くの人が私の周りにいる。何もしていないことをしている人も含めて、人それぞれみんな自分の道を歩いてるのだから、私は何もしていない人を見ても勉強してる人を見てもなんとも思わないのである。

 でもこんな人たちを見ていると、いつも私は励まされるのであった。思えば来た当初からそうであった。私が日本を去るときの周りの友達の反応と言えば、「グアテマラってどこー?」、「グアテマラって国の名前なの?」と、グアテマラの場所を分かってもらえないばかりか、「何しに行くの?」、「何でグアテマラなの?」といった私の理解を超えるような質問までをも浴びせられた。自分が何をしに行くかなんていう不安は皆無だったものの、やはり日本ではあまり知られていない国に全く言葉もわからないまま1人で旅立って大丈夫なものかと多少の不安もあった。しかし、アンティグアで知り合った友人たちに多くの事を教えてもらい助けてもらった。そして今では多くの善友、悪友と喜怒哀楽をともにしているのである。

Familia

 そろそろ、話題は私のさりげない日々に戻ろうと思う。スペイン語学校は、月から金曜日の週5日なので土、日は完全に自由な時間だ。週末は近くの村を訪れたり、アンティグアを出ることも多いが、ここにいるときは友達たちとカフェで3時間以上居座りコーヒーや甘いケーキとともに自習会をしたり(やっぱり最後にはノートそっちのけになるのだが)ホーステイ先の子供たちと遊んだりする。

Cuarto  日曜日、ホームステイ先では、食事は出ないので家でキッチンを借りて友達と日本食を作ったりする。午前中、市場やスーパーに買い物に行き、空腹感を感じながらキッチンへとたどり着く。日本にはない野菜などの材料を使ったりするので日本にはないような日本料理が出来あがったりする。そんな時の口直しにはマコトさんの作る日曜の夜の定食。毎日曜日の夜はいつも多くの旅行者が(日本人だけではなく)マコトさんの作る料理を楽しみにアタバルにやってくる。昼に友達と作ったものをさんざん食べた後でも夜は夜で食べれてしまうのだ。

 さて、時はクリスマス。ここではクリスマスは年間を通じて最も重要な行事の1つである。グアテマラ人大半はカトリックなので、日本と異なりクリスマスは祝日で、家族一緒に祝わなければならないまじめなかつ楽しい行事なのである。24日の夜12時を迎えると同時に一斉にあちこちで爆竹が鳴り花火(日本よりはかなり小さいが)が上がり家の前の公園はディスコと化し巨大アンプが持ちこまれ、朝の五時まで家にいても体に振動が伝わるくらいの爆音が鳴り響き、若者たちが一晩中踊り続ける。普段は静かなこの町、たまには異なった顔を見るのも楽しい。

 このような感じで私はここグアテマラ、アンティグアでさりげない日々を送っている。

 今日は学校の先生たちが私の誕生日を祝ってくれるというので、また住まい(カフェテリア)に帰らなければ行けない。では、そろそろ石畳を歩いて自分の住処に戻るとするか。あなたに、ここアンティグアで会える日をカフェオレでも飲みながら心から楽しみにしています。
Merced Nami Avenida

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