Señor Kei "ANTIGUA REPORT"  (No.4)
( 渓さんの「アンティグア・レポート」)



注: 文中の斜体字は今回の掲載にあたって注釈などを追加したものです。

***** 第 四 回 *****

スペイン語学校、etc...

8 de Junio 1997

 早いものでもうアンティグア在留100日を越え、入国時の90日滞在許可をもう90日延長してもらい常春の国で恙無く過ごしております。5月半ばから雨季に入りましたので昼から夜にかけて毎日か一日か二日おきに雨が降ります。しかし雨があがると又強い日差しが肌を焦がします。20度から23度の気温で、風でも吹かない限り今までと同じ半袖のスポーツシャツで過ごしております。年間で一番気温が低い12月、1月は朝晩20度を割り寒く感じるそうです。殆どの家で暖房器具は使わないようですが、メルカド(市場)には火鉢と言うか七輪のような素焼きのものが木炭と共に顔をだすそうです。

 変わりなくと申し上げたい処ですが又住いを変わりました。今回で四度目です。今までの処はしないの中心部にあり、公園、銀行、ホテル、レストラン、クリーニング等便利な点では申し分無く新築のバスつきで気に入っていたのですが、このところ水の出が悪く入浴にも差し障る様になりましたので雨季を迎え衛生面を考え思い切りました。今度の家(ファミリア)は中心部へ10分のまあまあの場所ですし、建築語2年のバスつきの部屋がたまたま見つかりました。今までは同じファミリアにいた日本人3人と食事をし、日本語の生活を送っていましたが、今度は私と同年輩の夫婦との3人だけの生活ですのでスペイン語のやりとりしか有りません。三度の食事の時は何を話そうかなぁと毎回考えてしまいますが学習面からは効果が有るものと思います。スペイン語学校も三ヶ月を越え毎日マンツーマンの4時間授業を受けていますので少しづつですが話せるようになりました。半年、一年、二年と経てば何らかの成果は挙げられるものと思います。当方の事ばかりお話しして紙面が進んでしまいましたが、ここでこのスペイン語学校をとりあげさせていただきます。


<<スペイン語学校>>

 私がこの地に参りました動機も少し関係がございますので触れさせていただきます。大学1、2年の頃だと思いますが、無味乾燥の戦争の期間を終え一挙に流入した外国の音楽の中で私の心を捕らえたのは、ジャズよりアルゼンチンタンゴの旋律でした。そしてそのタンゴを原語で歌ってみたいと思いスペイン語学校に通い始めました。日本も戦後の貧困からまだ立ち直れなかった時代ですが、私も学資稼ぎのアルバイトというより生活のために働いていた頃でしたので一月程でスペイン語はあきらめてしまいました。それから長い長い年月が過ぎましたが頭のどこか片隅にスペイン語があったのだと思います。そして二回目の仕事を終えたあたりからスペイン語学習のための留学を考え検討し始めました。入院による挫折の期間はありましたが回復と共に研究を始め、また家人への説得も真剣さを増しました。最後にお世話になっていたカラカミ観光、JTB、そして多くの型にご理解をいただき今回の運びになったわけです。留学先の選択に取り上げたのは先ずスペイン、メキシコ、そして中南米の各国でした。こちらに来てから分かったことなのですが、相当な素地でもないと、スペイン、メキシコでは初心者は殆ど失敗するケースが多い様です。漢字、縦書きの人と同じ文字を書き原語的にも近い欧米人とは習得力に格段の差があるようです。アメリカに4、5年留学し、大学を卒業した人たちさえその差を痛感しています。そんな中でスペインでもメキシコでも教室はグループ学習のため、日本人はディスカッションに参加出来ずお客さんになってしまうことが多々有るようです。また授業料、ホームステイの費用の高額なことにも問題が有るようです。その点グアテマラのアンティグアは、全て授業はマンツーマン〔アタバルでは希望があれば先生1名に対し生徒2名の授業料も設定しています〕で個人の能力に応じて行われ、ホームステイと共に料金が低廉であること、受け入れ校の多いことも他の中南米各国にもその例を見ません〔アンティグアはキリスト教布教の拠点で、ペルーのリマ、メキシコシティ、米国ハーバードにつづくアメリカ4番目の大学が創設された古くからの学園都市だった〕。私の場合、スペイン語圏を検討しているうちに、マヤ・アステカ・インカの遺跡に心を魅かれたこともあり、結果として良かったと思います。

 観光都市、古都アンティグアにはホテル、レストラン、民芸品などの土産物屋、旅行会社、教会とその廃墟、そしてスペイン語学校が沢山あります。今年のセマナ・サンタの時には主な道路の電柱の撤去も済み、電線は地下へ埋設されており、又建物からはみだした看板は認められていませんので、古都と呼ぶにふさわしい地味で品の良い町並みをしています。それでも小さく掲示してはいるもののスペイン語学校の名前がやたら目につきます。学校の数は40~50位と言われていますがもっと多いかも知れません。そして当然そこにはその栄枯盛衰があり、代替わりもあります。〔グアテマラ観光協会から〕公認されていない処や家庭教師のように個人で教えているものも含めるとなかなか実数は把握出来ないようです。規模と内容はそれぞれ異なりますが、中にはホテルと見違える程の美しいパティオ(内庭)を持ち豪華な設備の学校や、反面地味で小規模な学校、(「地球の歩き方」に特設記事のある)アタバルのように日本人が経営し、日本語の参考書やワークシートも置いてある学校などいろいろあります。経営に関しては学校の土地や建物が自己の持ち物(全体の10%以下)か賃貸かによって大きな差があり、又学生と教師、経営者との人間関係が上手くいっているかが最も大切なポイントになります。

 学生の出身国はアメリカ・カナダ、ヨーロッパ各国、日本、韓国等です。修学期間はアメリカ人、ヨーロッパ人で一週間~十日間、日本人で二週間~一ヶ月が最も多いようです。皆勉強の後はメキシコ、中南米各国の旅行に出かけて行きます。主に日本人のことになりますが、滞在許可の関係で延長手続きや一時隣国への出国をしながら、長い人で三ヶ月から一年くらい、年齢は20代、30代の人が多く、夏休みなど学校が休みの時期になると学生などぐっと若い層が増えるようです。初めてこの地に来た人は勿論多いのですが、以前に南米で仕事や勉強をしていたとか、或いはメキシコ、スペインで勉強したものの又やり直したいという人達が結構いるようです。それと現在大学でスペイン語を履修中とか、卒業したばかりの人もいます。一般的に男女とも30歳代の人達に言えることは、仕事や人生に挫折感を持ち、新しい場所でスペイン語を勉強し、旅をしながらやり直したいという希望を持って来た人達が大半のようです。20歳代では現在在学中の人は別として、大学は卒業したがもう一つ力をつけたいという意欲で来たのではないでしょうか。1年程度仕事をしてお金を貯めればここでは留学が可能なのですから今はいい時代です。

 授業料は一日4時間、週5日授業で一週間あたり40~70ドル位が目安で、一週間単位の契約です。一日6時間、8時間の授業も受けられますが、復習予習を考えると無理があります。ホームステイは一週間250~300ケツァル(一日3食付き、ただし日曜日は食事無し、1Q=20円)、学費・生活費・雑費全てを総計して月500~1,000ドルということになります。私の場合、浴室付きの部屋を借りて、下着を含め総てクリーニングに出し、時々喫茶店でお茶を飲んだり、日曜日の3食の外食のほか、週一回位若い人達と夕食を外でとったりお酒を飲んだりと贅沢こそしませんが比較的ゆったりと生活していますが、月平均700~800ドル位であがっています。私等は仕事をしないで家でしょざいなくぶらぶらしているよりここの方が安上がりでもあります。JTBでも若年層、年配者の勉学に意欲ある方向けの新市場として開拓してみませんか?特に定年後のインテリ層にピッタリだと思います。又当地での勉強以外のアクティビティーとして遺跡めぐりなども含めた1、2泊程度の国内旅行や3、4泊程度の近隣諸国への旅行、音楽・映画鑑賞、民芸織物教室、ジムでのトレーニング、サルサやメレンゲなどのラテン・ダンス講習等々いくらでも付け加えられます。3~4ヶ月単位の計画は如何でしょうか?一度参加した方がリピーターとなる可能性も十分あります。大学等にも売りやすい商品になると思います。またまた商売気を出してしまいましたが、いろいろな会社が見当し始めているようです。

 思いのほか、紙面をとられてしまいましたので今回はこれで終わりに致します。


(連絡先)
Centro Lingüístico ATABAL
1a Avenida Norte #6, Antigua Guatemala C.A.
Tel & Fax: 502(国番号)-832-0791

(新住所) ** 現在筆者はこちらには滞在しておりません。
c/o Señor Don Ramiro Mendosa
1a Avenida Norte #18-A

発信人 アンティグアの寅さんこと 小泉 渓