Señor Kei "ANTIGUA REPORT" (No.3) ( 渓さんの「アンティグア・レポート」) |
注: 文中の斜体字は今回の掲載にあたって注釈などを追加したものです。 ***** 第 三 回 ***** 電気のこと、買い物について、お水のこと、車のこと、女子高生、etc... 27 Apr 1997 ゴールデンウィークを目前に控え公私共々ご多忙のことと拝察致します。しかしもっぱら何と言っても、若葉に陽光が輝き、薫風が爽やかな季節ともなれば心浮き立つ皆様でございましょうが、この地では四季が無く、間もなくやってくる雨季の秋と冬と、終わろうとしている乾季の夏の三季のようでございます。到着以来今日で64日になりますが、今まで2回雨があったかなと言えるくらいのお湿り程度で快晴の連続でした。ここにきて青空に少しづつ雲が増え雨季の到来を感じますし、気温は20~23度位なのですが朝晩風のある時等ぞくっとするような寒さをかんじるようになりました。しかし人々は相変わらずマイペースでTシャツでいたり、セーターを着たりです。私はだいたい半袖で時々寒い思いをしておりますが、太陽がじりじりしている時にセーターを着たりして調子の狂ったことをしております。それでもお陰様で体調に特に異状は無く真面目に学校に通っております。食事付のアパートという感じで、もうアパートを探す必要もなくなりました。学校も住まいも当分の間変わることは無いとおもいますので、ご連絡がございましたら下記宛お願い致します。 * * * * * * * * * * * * * * * * <<車のこと>>首都グアテマラ・シティでは排気ガスが大きな社会問題になっているようですが、空気の奇麗なアンティグアにも沢山の車が走っています。しかし大部分の車は古い車〔もちろん新車も見受けられます〕というより、日本では廃車になって山積みになった中から一番下のを引き出して使っていると言った感じで日本の我が家で9年も乗っている車もここでは最高級の部類に入ると思います。乗用車は大半がメイド・イン・ジャパンですべてのメーカーのものがあります。ベンツもアメリカ製もありますが本当のオンボロで、前のフェンダーが片方無かったりライトやサイドミラーが無かったりで、こんなに雑に使っても結構動くもんだなぁと感心させられます。私が21~22歳の学生の頃、横浜の港で占領軍のアルバイトをしていた時に見た、同じタイプのプリムスが石畳の道をガタガタと走っており、46~7年も前の車が博物館でなく現役で頑張っているのを見て驚きと言うより感激致しました。 タクシーも例外ではありません。商売に使うのに少しは手をいれて使えばと思う時があります。こちらに来てすぐにタクシーに乗った時、助手席に座れと言われ、話をするためかなと思い前に座ると、止まる度に後部座席の背もたれがバタンと前に倒れ納得がいきました。 外国人が乗っている観光バスは奇麗ですが、定期の乗合バスは殆どアメリカのお古です。黄色でスクールバスと書かれた車に大人がぎゅうぎゅう詰めに乗っているのもあり微笑ましい光景です。混んでいる時は二人掛けのシートに左右共三人づつ座るので通路側の人は片方のお尻だけが椅子の上で左右お互いがもたれあって安定を保っています。子供は無料ですので立つことが原則ですが皆優しいのでそばの人が膝の上に抱きかかえます。子供も大人しく車内で泣いたりわがままを言ったりすることは滅多にありません。そんな状態のなかでもお互いに助け合って年寄り、婦人、子供の乗り降りの際は手を貸したり荷物を持ってあげたりでなかなか好感が持てました。ついでにバスの助手の活躍ぶりについてお話ししましょう。助手というか車掌というかこの人達は屈強な若い男性です。運転手に代わって警笛(前に下がっている紐を引っ張って鳴らす)を鳴らすこともあります。交差点では飛び降りて安全の確認をし、走行中も乗降口のドアを開けたまま体をそこから乗り出して大声で行き先を叫びながら集客をします。また、三人掛けしている他に通路に立っている〔立って乗車するのは禁止なのですが黙認されているようです〕人までいる中を乗車料を集金して回ります。我々外国人なら兎も角、どの人が途中から乗ったかわかるのか感心するばかりです。危険で大変な仕事で、急に姿が見えなくなってどうしたのかなぁと思っていると、走っているバスの屋根を通っていきなり後ろのドアから入ってきたり、まさに神業のような働きです。 トラックはアメリカかドイツ製のやはりお古が多いようです。どの車にも何か欠点があるようで、一般的には方向指示灯の欠落が多く見かけられます。交差点でどの車が曲がるか見当がつきません。右側通行ですから交差点では先ず左を見て右を見て前を見てですが、後ろも見なければなりません。後ろから来た車がいきなり曲がってくるからです。兎に角運転マナーは最低で、タクシーが先が見えないカーブで反対車線へ出て追い越しをかけたのには驚きでした。充分注意しながら生活していきたいと思っております。 <<女子高生>> グアテマラの学制について少し触れてみます。5~6歳の2年間が幼稚園、7~13歳の7年が日本の小中学にあたり、14~16歳の3年が高校、17歳からが専門学校・大学になります。この国はなかなか教育に熱心なようで市の人口に比して学生の数が多いようだと思っておりましたら、沢山の生徒が近くの村落から来てアンティグアで下宿をしながら通学しているのです。 高校は二部授業で7:30~12:30と13:30~18:30に分かれています。私のスペイン語の授業が終わって帰宅する時に丁度前半の子達の帰宅と一緒になります。日本の男子校生とは少し違いますが、女子高生はそっくりで、白のブラウス、チェックのスカートと毛糸のカーディガン、白のソックスという制服で質素で清潔な印象を受けました。ここに来て間もなく道も不馴れな頃、交差点で下校途中の女子高生をぼんやりと見ていると、服装が少しづつ違うのに気づきました。あれ、あの子のスカートの柄は違う、あの子のソックスは赤だ、カーディガンの色が違うとキョロキョロ見ながら歩いているうちに方向を見失ってホテルに帰るのに大変苦労しました。その位学校が多いと言うことなのですが、それが分かったのは大分後になってからです。 女子高生の中には小柄な浅黒いインディヘナの子もいますが、スタイルが良く大柄な、白人や混血のびっくりするような美人にも時々出会います。もう迷うこともなくなりましたので、自動車に轢かれぬよう注意しながら目の保養をしたいと思っております。 |
発信人 アンティグアの寅さんこと 小泉 渓 |