Señor Kei "ANTIGUA REPORT"  (No.3)
( 渓さんの「アンティグア・レポート」)



注: 文中の斜体字は今回の掲載にあたって注釈などを追加したものです。

***** 第 三 回 *****

電気のこと、買い物について、お水のこと、車のこと、女子高生、etc...

27 Apr 1997

 ゴールデンウィークを目前に控え公私共々ご多忙のことと拝察致します。しかしもっぱら何と言っても、若葉に陽光が輝き、薫風が爽やかな季節ともなれば心浮き立つ皆様でございましょうが、この地では四季が無く、間もなくやってくる雨季の秋と冬と、終わろうとしている乾季の夏の三季のようでございます。到着以来今日で64日になりますが、今まで2回雨があったかなと言えるくらいのお湿り程度で快晴の連続でした。ここにきて青空に少しづつ雲が増え雨季の到来を感じますし、気温は20~23度位なのですが朝晩風のある時等ぞくっとするような寒さをかんじるようになりました。しかし人々は相変わらずマイペースでTシャツでいたり、セーターを着たりです。私はだいたい半袖で時々寒い思いをしておりますが、太陽がじりじりしている時にセーターを着たりして調子の狂ったことをしております。それでもお陰様で体調に特に異状は無く真面目に学校に通っております。食事付のアパートという感じで、もうアパートを探す必要もなくなりました。学校も住まいも当分の間変わることは無いとおもいますので、ご連絡がございましたら下記宛お願い致します。
** 以下は1997年4月当時の連絡先です。現在はこの住所で筆者と連絡をとることはできません。

c/o Clara del Pozo
5a Avenida Norte #16, Antigua, GUATEMALA C.A.

ただ郵便事情が大変悪く航空便で3週間以上かかりますので学校宛FAXしていただければ幸いに存じます。さて三回目のレポートは今まで伝えしようと思いながら述べずにいたことからはじめさせていただきます。


<<電気のこと>>

コンセント (6KB)  一寸した旅行程度でしたら余り考えなくてもいいのですが、ある期間その国を旅行したり滞在したりするとなると、我々日本人は使い慣れた電気器具を持参したくなります。その情報は専門の電気屋さん、東京で云いますと秋葉原の間口一間程の小さなお店でも結構詳細なデータを持っていますのでお聞きになったらいいと思います。ただソケットの形、差し込み口の形状ともなると以外に在日大使館でも明確な回答が返ってきませんので実際に体験した人から聞くのが一番だと思います。ちなみにグアテマラでの差し込み口は右記の通りで日本の物がそのまま使えます。電圧は110Vで日本の100Vと若干違いますがドライヤー、シェイバー等通常の器具はそのまま使用出来ます。日本は100Vと言っても実際はもう少しありますので殆ど差は無いのですが、精密な機械、ワープロ・パソコン等は変圧器を使用した方が無難なようです。当地の電気事情は悪く時々停電になります。仕事でお越しの方は無論のこと、旅行者も懐中電灯を持参した方が無難です。
** グアテマラのオフィスやある程度の階層以上の家庭では、停電に備え精密機器は安定器を介してコンセントにつないでいます。精密機器は高電圧よりも低電圧により障害を受けることが多いのでこうした備えが必要です。ただし安定器は重く大きいので、日本から持っていくことはむずかしいでしょう。


<<買い物について>>

 アンティグアにもスーパーマーケットが二店あり、たいていの物はそろっていますし、食材、生活用品等特に不自由はありませんが、品質、レイアウトともなるときめ細かな品揃えが完璧な日本と比べるとやはり首を傾げてしまいます。しかしすぐそばにあるメルカド(市場)に行きますと品物の種類、量、低廉な価格とそこで商いをする人達のボリュームに圧倒されてしまいます。そこで買い物をするには商人に対する礼儀でもあるかのように値切ることから始まります。特に我々外国人(?)には大分吹っかけておりますので当然とは言えます。昨日私がそこで買った花束が日本円にして20円、東京で買えば馬鹿高いスイスアーミーの十得ナイフの紛い物が200円、はさみが100円といった具合でいつになってもお金が減らずに楽しくなってしまいます。アンティグアで無いものと言うと、日本の食材、味噌、豆腐、納豆、海苔、日本のお茶と柔らかい牛肉、おいしい豚肉(鶏肉はなかなか美味しい)、それと魚はあまり売っていません。奇麗な砂糖や食塩も何故か有りません。果物や野菜は種類も多く安く買うことが出来ます。私のファミリアの朝食には毎日5種類程のフルーツがお皿一杯出て満足しております。
** 実際にはアンティグアでも(少々固めの)中華料理向きの豆腐は手に入りますし、醤油を販売しているお店もあります。日本の食材は他にお酒や米、お菓子などもグアテマラ・シティまで足をのばせばすべて手に入ります。ただし金額は高めです。魚は太平洋やカリブ海沿岸では豊富なのですが、冷凍設備や流通上の問題もあって内陸にあるアンティグアではあまり豊富ではありません。それでも最近では朝太平洋岸で捕れた魚を行商にくる者もいるので、新鮮な魚も手に入りやすくなってきています。肉類は冷凍保存し、ねかしてから販売することが少なく、処理したばかりの硬い肉が食卓に並ぶことが多いようです。


<<お水のこと>>

 雨が降らず大きな川も見かけないのですが、ここの人達は毎日道路や芝生に水を撒き、田園地帯ではスプリンクラーで気前よく散水している割には、よく断水します。また水量も細いので家の中で誰かが使うと、とまったりする不運にあいます。石鹸を一杯つけたところで運が悪ければ立ち往生です。日本の温泉大浴場が恋しくなります。
** 実はこのとき渓さんがいたホームステイ先のファミリアでは特に断水が多かったようです。他のファミリアでも断水はあるものの、ここまではひどくなく、いずれこのことが理由で引っ越すことになります。


 以上気づいた現地事情について申し述べましたが、何かご質問がありましたらお問い合わせ下さい。何か悪いことばかりお伝えしたようですが、ここには興味深い歴史や遺跡があり、美しい自然と人情の溢れる土地でもあります。この頃は〔時期にもよりますが〕10万円一寸で往復出来るようですし、安く過ごす方法をお知らせします。12~15日程お休みを取って、のんびりしに来ませんか?きっと又新しい人生が開けるようになると思います。航空券の他に1,000ドルあれば、食べて、寝て、飲んで、喫茶店でお茶を飲んでケーキを食べて、一寸旅行して二月以上居られます。興味がありましたら詳細をお教えいたします。私は最近小旅行に出かけましたが、1泊2日で交通費(バス、遊覧船)と宿泊費、食事代、飲物代すべて含んで日本円換算3,500円でした。ちなみにホテル宿泊費は200円でした。

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<<車のこと>>

 首都グアテマラ・シティでは排気ガスが大きな社会問題になっているようですが、空気の奇麗なアンティグアにも沢山の車が走っています。しかし大部分の車は古い車〔もちろん新車も見受けられます〕というより、日本では廃車になって山積みになった中から一番下のを引き出して使っていると言った感じで日本の我が家で9年も乗っている車もここでは最高級の部類に入ると思います。乗用車は大半がメイド・イン・ジャパンですべてのメーカーのものがあります。ベンツもアメリカ製もありますが本当のオンボロで、前のフェンダーが片方無かったりライトやサイドミラーが無かったりで、こんなに雑に使っても結構動くもんだなぁと感心させられます。私が21~22歳の学生の頃、横浜の港で占領軍のアルバイトをしていた時に見た、同じタイプのプリムスが石畳の道をガタガタと走っており、46~7年も前の車が博物館でなく現役で頑張っているのを見て驚きと言うより感激致しました。
 タクシーも例外ではありません。商売に使うのに少しは手をいれて使えばと思う時があります。こちらに来てすぐにタクシーに乗った時、助手席に座れと言われ、話をするためかなと思い前に座ると、止まる度に後部座席の背もたれがバタンと前に倒れ納得がいきました。
Local Bus(11KB)  外国人が乗っている観光バスは奇麗ですが、定期の乗合バスは殆どアメリカのお古です。黄色でスクールバスと書かれた車に大人がぎゅうぎゅう詰めに乗っているのもあり微笑ましい光景です。混んでいる時は二人掛けのシートに左右共三人づつ座るので通路側の人は片方のお尻だけが椅子の上で左右お互いがもたれあって安定を保っています。子供は無料ですので立つことが原則ですが皆優しいのでそばの人が膝の上に抱きかかえます。子供も大人しく車内で泣いたりわがままを言ったりすることは滅多にありません。そんな状態のなかでもお互いに助け合って年寄り、婦人、子供の乗り降りの際は手を貸したり荷物を持ってあげたりでなかなか好感が持てました。ついでにバスの助手の活躍ぶりについてお話ししましょう。助手というか車掌というかこの人達は屈強な若い男性です。運転手に代わって警笛(前に下がっている紐を引っ張って鳴らす)を鳴らすこともあります。交差点では飛び降りて安全の確認をし、走行中も乗降口のドアを開けたまま体をそこから乗り出して大声で行き先を叫びながら集客をします。また、三人掛けしている他に通路に立っている〔立って乗車するのは禁止なのですが黙認されているようです〕人までいる中を乗車料を集金して回ります。我々外国人なら兎も角、どの人が途中から乗ったかわかるのか感心するばかりです。危険で大変な仕事で、急に姿が見えなくなってどうしたのかなぁと思っていると、走っているバスの屋根を通っていきなり後ろのドアから入ってきたり、まさに神業のような働きです。
 トラックはアメリカかドイツ製のやはりお古が多いようです。どの車にも何か欠点があるようで、一般的には方向指示灯の欠落が多く見かけられます。交差点でどの車が曲がるか見当がつきません。右側通行ですから交差点では先ず左を見て右を見て前を見てですが、後ろも見なければなりません。後ろから来た車がいきなり曲がってくるからです。兎に角運転マナーは最低で、タクシーが先が見えないカーブで反対車線へ出て追い越しをかけたのには驚きでした。充分注意しながら生活していきたいと思っております。


<<女子高生>>

 グアテマラの学制について少し触れてみます。5~6歳の2年間が幼稚園、7~13歳の7年が日本の小中学にあたり、14~16歳の3年が高校、17歳からが専門学校・大学になります。この国はなかなか教育に熱心なようで市の人口に比して学生の数が多いようだと思っておりましたら、沢山の生徒が近くの村落から来てアンティグアで下宿をしながら通学しているのです。
 高校は二部授業で7:30~12:30と13:30~18:30に分かれています。私のスペイン語の授業が終わって帰宅する時に丁度前半の子達の帰宅と一緒になります。日本の男子校生とは少し違いますが、女子高生はそっくりで、白のブラウス、チェックのスカートと毛糸のカーディガン、白のソックスという制服で質素で清潔な印象を受けました。ここに来て間もなく道も不馴れな頃、交差点で下校途中の女子高生をぼんやりと見ていると、服装が少しづつ違うのに気づきました。あれ、あの子のスカートの柄は違う、あの子のソックスは赤だ、カーディガンの色が違うとキョロキョロ見ながら歩いているうちに方向を見失ってホテルに帰るのに大変苦労しました。その位学校が多いと言うことなのですが、それが分かったのは大分後になってからです。
 女子高生の中には小柄な浅黒いインディヘナの子もいますが、スタイルが良く大柄な、白人や混血のびっくりするような美人にも時々出会います。もう迷うこともなくなりましたので、自動車に轢かれぬよう注意しながら目の保養をしたいと思っております。

発信人 アンティグアの寅さんこと 小泉 渓