Señor Kei "ANTIGUA REPORT"  (No.1)
( 渓さんの「アンティグア・レポート」)



注: 文中の斜体字は今回の掲載にあたって注釈などを追加したものです。

***** 第 一 回 *****

グアテマラ・シティ、アンティグアの町並、アンティグアの治安、
お金のこと、気候、食生活、etc...

16 Mar 1997

 この地に到着してから早や3週間が経過してしまいました。心ならずもご無沙汰をしておりますがお変わりなくお過ごしのことと拝察いたします。ホテル住まいの一週間の内、一日は首都グアテマラシティに出かけ、残りの日はアンティグア市内の主要な場所を見学したり、スペイン語学校の申し込みをしたり、ホームステイ先を訪ねたりして過ごしました。ファミリア〔ホストファミリーのこと〕には3月2日からお世話になり、学校には3月3日から通っております。毎日が復習や身の回りのことや雑事に追われてしまいましたが、一応当初の計画通りに事が運んでおります。
 今までに見聞きし感じた事をご報告したく第一回目のリポートとしてお送り致します。お暇な時にでもご覧いただければ幸いに存じます。


<<首都グアテマラシティ>>

 大使館に在留届けを提出がてらご挨拶に行き、観光案内所に資料をもらいに行っただけですので、詳しい事はこの先におしらせすることにして、人口150万の喧噪の大都会であること、近代的なオフィスビルの立ち並ぶ地区と未開発な地区との落差を持つ町であること、治安の面で不安があること(大使館員が大使館からたかだか25分位のバスターミナルまでの道を案内するのに、この道は危ないとかこの道は心配だとか言っていた)等は短い時間内に知ることが出来ました。
 ここからアンティグアまで車で50分内の距離ですが私の時は、途中交通事故があったこと、お祭りの行列に出会ったことなどで一時間以上かかってしまいました。"車"の項でお伝えしますが車窓からの自然が豊富であるにも拘らず、運ちゃんの猛烈な運転で快適なドライブとは言えませんでした。


<<アンティグアの町並>>

 1543年に3番目の首都として創設され1773年の大地震で破壊されるまで栄えた町ですがいまだに残るころに有るスタイルの家並みには我々東洋人にとってエキゾチシズムを感じさせる充分なものが有ります。家々は学校もホテルも商店も一般家庭も、すべて道に面して小さな扉を持つ"ロ"の字形の建物の連続です。道の方から見れば高い塀が続き所々に扉があるといった感じなのです。家々の間隔は全く無く両方の壁がぴったり合わさっています。扉の中に入れば大小は有りますが全ての建物に中庭が有り、そこには花が飾られ落ち着いた風情を醸し出しています。"ロ"の字の中庭に面して窓が有りドアが開かれていて、採光通気に役だっています。この建物は16世紀のスペインの植民者達が原住民の反乱に備えて建設したことが想像されます。
 町は碁盤の目の様になっていて如何にもわかり良い様ですが、看板は一切なく建物の外側につつましやかにホテル名とか学校名とか一般家庭ですと番地の番号が書かれています。建物の色調は白が主流を占め、そこに色鮮やかなブーゲンビリアが垂れ下がり、遠景に広がる富士山に似た秀麗なボルカン・デ・アグア〔VolcandeAgua〕と共に古都アンティグアの一幅の絵となっております。白が主流を占めると言っても外にも色々な色があり、よし、このピンクと黄色の処で曲がればいいんだなと思っていると、そんな組み合わせはいくらでもあり、最初の内はうろうろしてしまいました。

** ユネスコ世界遺産に指定されて以来アンティグアは景観保護のため、建物の高さ制限をはじめ、いろいろな規制が敷かれています。看板がみられないのもそのためです。また電柱をなくし地下に置きかえる工事が現在も行われています。

Ruinas (18KB) 家の外は巾1.5mほどの狭いコンクリートの歩道があり、対面でやっと擦れ違える位です。石畳の車道からの高さ10cmから50cm以上の所もあり、年寄りや子供には危ない感じです。石畳の車道は中央が少し窪んでいて雨季の大雨が降った時、大量の雨水が流れることが想像されます。下水道の施設が不十分なため、車道はコンクリートやアスファルトではなく水が吸い込み易い石畳が必要なわけです。歩道には磨かれた石造りの下水のマンホールの蓋があり1965年施工の刻印が見られました。20世紀に入って1917年、1978年と大きな地震があったそうで、一回目の後の復興で作られたものだなぁと感慨深く見入ってしまいました。私は地震が大の苦手なので在住中に無いことを願っております。下水道と水洗トイレとは密接な関係がありますが、ここアンティグアではトイレで使用した紙を便器に流さず、横に置いてある屑籠に捨てることになっています。これが最初のカルチャーショックでした。
 広い道には街路樹が植えられていますが、幹の地上1.5m位まで白く塗られています。殺虫剤だそうですが何かおまじないの様な気がしました。町の全部の木がそうなので異様な感じです。


<<アンティグアの治安>>

Coca-Cola (11KB) 中南米何処でもついてまわる心配なのですが、老若男女沢山の土地の人が実際に住んでいるわけで、それなりの心構えと知識さえあれば問題がおきることはないと思います。そうした中、アンティグアは"観光とスペイン語学校の町"で最も治安上心配の無い所と言えます。それでも平和な日本から来ると、やたら武器を持った人達が目につきます。警官の武装は兎も角として、自動小銃、ライフル、ショットガン、拳銃、山刀、ナイフ等で武装した連中がうようよいます。銀行、貴金属店は勿論のこと一寸した店では店の格式を示すかの様にそうした人達を雇っています。でもコカ・コーラの運搬の車にショットガンを持った人が大真面目な顔で乗っているのには笑ってしまいます。しかしこうした人達がいると云うことは矢張り心配な一面があるということで、それなりの心構えが必要です。今日からこのファミリアに入ってきたアメリカ人の若夫婦が夜映画を見に行くと言うので、早く帰った方がいいよといっておいたところ早々に帰ってきたようです。かく言う私ですが、おっかなびっくり10時半、11時過ぎ、12時過ぎとすでに3回遅く帰りました。調子に乗り過ぎないようにしたいと思います。


<<お金のこと>>

** 以下の料金および交換レートは1997年3月現在のものです。

 グアテマラ空港に着いて観光案内所でホテルの予約をするつもりでしたが電話も置いていない様な所でしたので資料をもらい料金を聞いたなかで名前が気に入ったエル・カルメン〔El Carmen〕というホテルに車を着けました。1泊朝食付ツインのシングルユース、シャワー付オール込み40ドル、コーヒーは何時でもサービスという条件で7泊予約しました。ここの中流といった感じで、部屋もシャワールームも大きくまあ良かったなぁと思いましたが、若い人達や外国人たちはここの通貨ケツァル〔Quetzal〕の感覚でホテルを決めています。1ドルおよそ6ケツァルが交換レートですが、大体20~30ケツァルで泊まっています。ランクが違うと言えばそれまでですが何か損をしたような気がしました。若い人達の方が経済感覚が有って泊まるにしても飲食にしても1ケツァルでも安い所を探しています。3食800円位で賄っているようです。
 今私はホームステイで一週間3食付(日曜日だけ食事なし)250ケツァル、日本円で5,000円を支払っています。スペイン語学校は月曜~金曜(先生1対生徒1のマンツーマン、一日4時間授業で相当きつい)47ドルを払っていますが、年金生活者にとって無理の無い生活だと思っております。ここでの生活に慣れたところで2~3万円だしてアパートか一軒家を借り3~4,000円だしてお手伝いさんを雇う贅沢な生活に入るかも知れません。こちらの人達の収入は、私達の学校の先生で(パート感覚だと思いますが)13,000円~15,000円、銀行員の平均で25,000円位と聞きました。一応物価は安定しているようですし、〔気候が穏やかで〕服はあまり要らないし、食費も安いし、子沢山ということを除けば充分やっていけるのだと思います。
 私達外国人の〔観光施設への〕拝観入場料はチップを別として平均5ケツァル(100円)が多いようで物価からすると大分高いと言えます。旅行者の中で、日本人を含め若いバックパッカー達は街角で物売りから食べ物を買いながら1ケツァルでも安い生活を心掛けているようです。


<<アンティグアの気候>>

 ここに来て3週間になりますが今は乾季のため、毎日快晴の日がつづいております。真っ青な空の下は紫外線が強く、学校の通学だけなのですが日焼けしてしまい腕時計の跡がしっかり残ってしまいました。日差しの下では顔がビリビリする位なのですが家の中や木陰では、さわやかな快適な常春と言える気温でずうっと22~3度です。私がおりました志賀高原蓮池〔筆者の渡航以前の日本での勤務地〕と同じ海抜1,500mで志賀高原や軽井沢の夏をもう少し快適にした申し分無い気候です。ただ朝晩は気温がぐっと下がりセーターかなにか羽織るものがほしい程度です。概は長袖のシャツで生活しております。


<<食生活>>

 世界一の食文化を誇る日本から来れば当然かもしれませんが、レストランでの食事は別としてここでの(中流階級?)食生活は耐えられないほど変化の無い味覚です。昭和一桁生まれの私ですから相当貧しい食生活を過ごしてきたのですが、やはりホームステイは当初の予定通り3ヶ月がいいとこのようです。食事のない日曜日の3食の外食を楽しみにしているのが現状です。

** ホームステイでの食事はファミリアごとにあたりはずれがあるようです。ホームステイ先をきめる重要なポイントかもしれません。

 まだまだご報告することが沢山あるのですが、あまり長くなりましたので続きは次回にさせていただきます。何かお役にたつことでもあればご協力させていただきますし、ご質問があればお答えいたします。ご遠慮なく下記宛ご連絡下さい。懐かしいお便りもお待ちしております。


(スペイン語学校)
c/o Centro Lingüístico ATABAL
1ra Avenida Norte#6, Antigua GUATEMALA C.A.

発信人 アンティグアの寅さんこと 小泉 渓